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青森地方裁判所 昭和47年(わ)123号 判決 1973年3月22日

(一)

被告会社の名称 株式会社市川屋

その本店所在地

青森県上北郡百石町字上明堂九三番地の二

その代表者氏名

木村直衛

(二)

被告人の氏名 木村直衛

その本籍地

青森県上北郡百石町字上明堂九三番地の二

その住居地

右に同じ

その職業

会社役員

その生年月日

大正八年二月一日

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官佐藤美津次出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告会社を罰金二七〇万円に処する。

被告人木村直衛を懲役五月に処する。

被告人木村直衛に対し、本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、青森県上北郡百石町字上明堂九三番地の二に本店を置き、衣料品、建具の販売等を営む資本金二〇〇万円の株式会社であり、被告人木村直衛は、右会社の代表取締役として会社業務の全般を総括している者であるが、被告人木村は、被告会社三沢店長木村金司と共謀のうえ、被告会社の業務に関し、法人税を免がれる目的で、売上、仕入れ、たな卸の一部を除外する等の方法によつて得た裏資金を架空名義および無記名の預金に領け入れもしくは不動産の買入れ代金に充てる等の不正の手段により、

第一、昭和四三年六月一日から同四四年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は一六九九万九六〇二円でこれに対する法人税額は五五七万二〇〇円であるにもかかわらず、昭和四四年七月三一日、十和田市四三番町一番三四号所在の所轄十和田税務署において、同税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は三〇五万五三一七円でこれに対する法人税額は七三万五四〇〇円(申告額は誤算であつて右所得金額に対する正当税額は七三万八一〇〇円)である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の当該事業年度の正規の法人税額五五七万二〇〇円との差額四八三万二一〇〇円をほ脱し、

第二、昭和四四年六月一日から同四五年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は一三五六万一九四九円でこれに対する法人税額は四五二万七一〇〇円であるにもかかわらず、昭和四五年七月三〇日、前記十和田税務署において、同税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は五一三万五五八九円でこれに対する法人税額は、一四〇万六〇〇〇円(申告額は誤算であつて右所得金額に対する正当税額は一四六万五〇〇〇円)である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の当該事業年度の正規の法人税額四五二万七一〇〇円との差額三〇六万二一〇〇円をほ脱し、

第三、昭和四五年六月一日から同四六年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は二三八二万八一四三円でこれに対する法人税額は八〇八万八一〇〇円であるにもかかわらず、昭和四六年七月三〇日、前記十和田税務署において、同税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は八五七万六〇二四円でこれに対する法人税額は二五二万五六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出しもつて同会社の当該事業年度の正規の法人税額八〇八万八一〇〇円との差額五五六万二五〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示の事実全部につき

一、被告会社の登記簿謄本

一、被告人兼被告会社代表者の当公判廷における各供述

一、被告人作成の「上申書」と題する書面(合計一四通)

一、大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書(合計二六通)

一、木村金司作成の「上申書」と題する書面(合計五通)

一、大蔵事務官の次の者らに対する各質問てん末書

木村金司(合計一二通) 木村のぶ(合計三通)

苫米地秀雄 小笠原務(合計二通)

村本宗一郎 渡部武行(合計二通)

内田美輝 宇都宮正栄

一、大蔵事務官作成の「検査てん末書」と題する書面(合計八通)

一、押収の元帳六冊(昭和四八年押第二号の六ないし一一)

一、同売上メモ二冊(同号の三、四)

一、同売上日誌一冊(同号の五)

一、同裏預金メモ四枚(同号の一二ないし一四)

判示第一の事実につき

一、押収の法人税確定申告書一冊(同号の一)

同第二の事実につき

一、税理士作成の「法人税確定申告について」と題する書面

同第三の事実につき

一、押収の法人税確定申告書一冊(同号の二)

(法令の適用)

一、被告会社の関係において それぞれ法人税法一六四条一項、一五九条一項

(併合罪の処理) 刑法四五条前段、四八条二項

二、被告人木村直衛の関係において それぞれ法人税法一六四条一項(いずれも懲役刑を選択)

(併合罪の加重) 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第三の罪の刑に法定の加重)

(刑の執行猶予) 同法二五条一項

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 井上清)

右は謄本である。

昭和四八年四月七日

青森地方裁判所第二刑事部

裁判所書記官 盛清克

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